『学力の経済学』『転職の思考法』『シン・ニホン』。本好きなら一度は見かけたことのあるベストセラーですが、これらの本を編集者として支えてきた一人が井上慎平さんです。
井上慎平さんは、NewsPicksパブリッシングの創刊編集長を務めた編集者であり、『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考』の著者でもあります。
京都大学を卒業し、出版業界でヒット作を次々と担当。一見すると申し分のないエリート経歴ですが、その途中で双極性障害を発症し、長期間の休職を経験しました。
現在はNewsPicksを退社し、新しい読書体験をつくる「問い読」を共同創業しています。華やかな成功歴だけでは説明できないところに、井上慎平さんという人物の面白さがあります。
井上慎平のwiki経歴!京都大学卒のベストセラー編集者
井上慎平のプロフィールを簡単に紹介
井上慎平さんは1988年生まれの編集者、著者、起業家です。読み方は「いのうえ・しんぺい」。京都大学総合人間学部を卒業後、出版業界へ入りました。
最初に勤めたのは、ビジネス書や自己啓発書で知られるディスカヴァー・トゥエンティワンです。書店営業や広報を経験したのち、編集者として本づくりに携わるようになりました。
その後はダイヤモンド社を経てNewsPicksへ移籍。2019年に書籍レーベル「NewsPicksパブリッシング」を立ち上げ、創刊編集長を務めています。
編集者として複数のベストセラーを担当しただけでなく、自らの病気や休職経験をつづった『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考』も出版しました。
現在は株式会社問い読の共同創業者として、読書と対話を組み合わせた学びの場づくりに取り組んでいます。
出身大学は京都大学総合人間学部
井上慎平さんの出身大学は、京都大学です。所属していたのは総合人間学部でした。
京都大学総合人間学部は、文系や理系という枠に縛られず、人間や社会、文化、自然について幅広く学べる学部です。専門分野を一直線に掘り下げるだけでなく、複数の領域を行き来しながら自分なりの問いをつくることが求められます。
井上慎平さんが後に始めた「問い読」では、用意された正解を覚えることよりも、本を読みながら問いを立て、他者と対話することが重視されています。
もちろん、大学時代の学びが現在の活動へ直接つながったと本人が明言しているわけではありません。それでも、分野を越えて考える姿勢には、総合人間学部で学んだ人らしさがどこか感じられます。
ベストセラーの「答え」を読者へ届けてきた編集者が、現在は「問い」の方を事業にしている。こうして経歴を並べると、なかなか興味深い変化です。
出身高校は公表されている?
井上慎平さんの出身高校については、広く公開されているプロフィールで学校名まで明かされていません。
京都大学を卒業しているため、「高校も有名な進学校だったのでは」と気になる人が多いのでしょう。ただし、出身大学から高校を推測して断定することはできません。
出身地についても、公式プロフィールでは詳しく紹介されていないことがあります。著書や対談で使われる言葉に関西らしい雰囲気が見られる場面はありますが、それだけで特定の都道府県や学校へ結びつけるのは無理があります。
井上慎平さんの場合、高校時代の話よりも、大学卒業後にどのように出版業界へ入り、営業や広報を経て編集者になったのかという職歴の方が詳しく語られています。
現在分かっている学歴は「京都大学総合人間学部卒業」まで。高校名については、新たに本人が語らない限り不明としておくのが適切です。
最初から編集者だったわけではない
京都大学を卒業した井上慎平さんは、2011年にディスカヴァー・トゥエンティワンへ入社しました。
ここで興味深いのは、入社してすぐに編集者としてヒット本を担当したわけではないことです。最初は書店営業や広報などを経験し、その後、編集者になっています。
本の編集というと、原稿を読んで著者と打ち合わせをする仕事を想像しがちです。しかし、本は完成させただけでは読者に届きません。書店のどこに置かれるのか、どのような言葉で紹介されるのかによって売れ行きは大きく変わります。
書店営業と広報を経験した井上慎平さんは、「作る側」だけでなく「届ける側」の事情も知っていたことになります。この経験は、後に数々のベストセラーを手掛けるうえで大きかったのではないでしょうか。
編集者の名前は本の表紙に大きく出ません。それでも、読者が本を手に取るまでの裏側には、タイトル、構成、装丁、宣伝方法を考える編集者の仕事があります。井上慎平さんは、その見えにくい仕事で結果を残してきた人物です。
ダイヤモンド社を経てNewsPicksへ移籍
井上慎平さんは2017年にダイヤモンド社へ入社し、2019年にはNewsPicksを運営するユーザベースへ移りました。
歴史のある出版社から、スピード感のある経済メディアへ。しかも、すでに存在する編集部へ加わっただけではありません。NewsPicksで新しい書籍レーベルを一から立ち上げる役割を担いました。
こうして誕生したのが「NewsPicksパブリッシング」です。井上慎平さんは創刊編集長に就任し、ウェブメディアと書籍を組み合わせた新しい出版の形に挑戦しました。
就任時には、出版は斜陽産業ではなく、良い本と読者をつなぐ橋がうまく架かっていないだけだという趣旨の考えを示しています。
本が売れにくいと言われる時代に、出版の可能性へ真正面から賭けたわけです。かなり熱量の高い編集者だったことが伝わってきます。ただし、その熱量は後に本人の心身を追い詰める一因にもなりました。
編集を担当した本がとにかく強い
井上慎平さんの経歴が注目される大きな理由は、担当書籍の顔ぶれにあります。
- 中室牧子『「学力」の経済学』
- マシュー・サイド『失敗の科学』
- 北野唯我『転職の思考法』
- 安宅和人『シン・ニホン』
いずれもビジネス書や教育書に関心がある人なら、一度はタイトルを見たことがあるような本です。
特に『「学力」の経済学』は、教育を経験談や精神論だけで語らず、データに基づいて考える視点を広めました。『転職の思考法』は、転職活動の手順だけでなく、自分の市場価値や働き方を見直す本として支持されています。
『シン・ニホン』も、日本の未来や教育、テクノロジーを扱う大きなテーマの本です。内容が高度な本を、読者が手に取りたくなる形へ仕上げるのは簡単ではありません。
扱っているテーマは異なりますが、どの本も読者の中に新しい視点をつくるという共通点があります。売れそうな企画を追いかけるだけではなく、「この考えを世の中へ届けたい」という編集者としての好みも感じられるラインナップです。
井上慎平の妻や家族、『弱さ考』に至るまで
井上慎平は結婚して妻と子供がいる
井上慎平さんは結婚しており、妻と子供がいます。
妻の名前や顔写真などは公表されていません。芸能活動をしている人物ではなく、会社員として働いていることを井上慎平さん自身が対談で語っています。
子供の詳しい人数や年齢についても、プロフィールとして細かく公開しているわけではありません。ただ、井上慎平さんは家族とのやり取りを話す際、自分を「お父ちゃん」と表現しています。
仕事で大きな実績を残した編集者が、家へ帰れば「お父ちゃん」。肩書きだけを追うと見落としてしまいますが、この家庭での姿は『弱さ考』以降の井上慎平さんを理解するうえで重要です。
病気によって以前と同じように働けなくなったとき、井上慎平さんは、自分が弱くなったら家族が離れてしまうのではないかという不安も抱えていました。しかし実際には、調子が悪く何もできそうにない日も、家族は自然に受け止めてくれたそうです。
妻の詳しい個人情報よりも、この関係性の方がずっと井上慎平さんの家庭を伝えています。
妻の職業は会社員!起業後の生活も支えている
井上慎平さんの妻は会社員として働いています。それ以上の勤務先や職種は公表されていません。
妻が仕事を持っていることは、井上慎平さんがNewsPicksを離れ、新しい事業へ挑戦する際の支えにもなりました。
起業には、理想だけでは解決できない生活上の問題があります。収入は安定するのか、家族の暮らしをどう維持するのか。まして井上慎平さんは双極性障害を抱えており、体調が毎日同じとは限りません。
そんな中でも新しい挑戦へ進めた背景には、妻が会社員として働き、家庭を支えているという現実的な土台がありました。本人も対談で、そのことを飾らずに語っています。
ここを「献身的な妻の美談」だけにしてしまうと、少し違う気がします。夫が何でも背負うのでも、妻が一方的に支えるのでもなく、そのとき動ける人が生活を支える。井上家には、強い人と弱い人を固定しない関係があるように見えます。
順調に見えた編集長時代に双極性障害を発症
NewsPicksパブリッシングの立ち上げ後、井上慎平さんは約3年間、スタートアップ企業の速い仕事の流れに身を置きました。
新しいレーベルの創刊編集長となり、結果を出し続けることを自分へ求めていたといいます。「本づくり以外のこともできると証明しなければならない」というプレッシャーも、自らにかけていました。
やがて心身が限界を迎え、2021年に双極性障害を発症。診断名は双極性障害Ⅱ型で、重いうつ状態となり、約1年間休職しました。
双極性障害は気分の波が現れる病気ですが、症状や経過には個人差があります。井上慎平さんも、単に少し休めば以前の状態へ戻れるというわけではありませんでした。
それまで当たり前にできていた会話や読書、映像を見ることなどが、少しずつ難しくなっていったそうです。本を作ることを仕事にしてきた編集者が、本を読めなくなる。その苦しさは相当なものだったはずです。
しかも、会社から無理を強いられたという単純な話ではありません。井上慎平さん自身が「強く優秀なリーダーでいなければ」と自分を追い込み続けていました。外から期待される強さと、自分が手放せない強さ。その両方が重なっていたのです。
「鬱になった人」ではなく弱さを言葉にした人
井上慎平さんについて検索すると、「鬱」という関連キーワードが表示されることがあります。
病気を公表しているため、この言葉自体が誤った噂というわけではありません。しかし、井上慎平さんを単に「仕事を頑張りすぎて鬱になった編集者」とだけ説明すると、大切な部分が抜け落ちます。
井上慎平さんが始めたのは、病気を克服して元の強い自分へ戻る物語ではありませんでした。「弱いままの自分で、どう生きるのか」を考えることです。
体調を崩す前と同じ働き方ができない。元気なふりも続けられない。それでも、本を読んだり、人と話したり、少しずつ仕事をしたりすることはできる。
できないことを数えて自分を失敗扱いするのではなく、環境や他者との関係によって変化する存在として自分を捉え直す。この考えが、連載と著書『弱さ考』へつながりました。
成功者が一度倒れ、以前よりさらに強くなって復活する。そんな物語なら分かりやすいでしょう。ただ、井上慎平さんが語っているのは、もっと格好悪くて現実的な話です。弱さが消えなくても、その日できる形で生きていく。そこに共感する人が多いのでしょう。
『弱さ考』の読み方は「よわさこう」
井上慎平さんの代表作『弱さ考』は、「よわさこう」と読みます。
正式な書名は『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考』です。2025年にダイヤモンド社から出版されました。
いわゆる闘病記だけではなく、能力主義、成長、自己責任、働き方、人間関係などを「弱さ」という視点から考え直す内容です。
休職中、井上慎平さんは100冊を超える本を読んだと語っています。その読書を通して、自分に起きたことを個人の失敗だけで終わらせず、社会の仕組みや時代の価値観と結びつけて考えていきました。
タイトルの「考」には、弱さへの答えを出したというより、弱さについて考え続けた記録という意味が込められているのでしょう。
編集者として他人の本を世に送り出してきた井上慎平さんが、自分の最も見せたくなかった部分を材料に一冊を書く。しかも、「これを読めば強くなれる」という本ではありません。このねじれ方が、いかにも編集者らしい一冊です。
現在はNewsPicksを退社して株式会社問い読を共同創業
井上慎平さんは現在、NewsPicksを退社し、株式会社問い読を共同創業しています。
共同創業者は、元『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』編集長の岩佐文夫さんです。二人が手掛ける「問い読」は、少し難しい本を読みながら、参加者同士で問いを立てて対話する読書プログラムです。
本の内容を素早く要約して、正解だけを持ち帰る場所ではありません。自分では思いつかなかった問いや、他の参加者が持つ異なる視点に触れることを大切にしています。
考えてみれば、これは井上慎平さんの経歴をひっくり返したような事業です。
かつては編集者として、本の内容をどう読者へ届けるかを考えていました。現在は、一冊の本から読者同士が何を考え、どのような対話を始めるかに力を注いでいます。
そして、強いリーダーとして何もかも一人で背負おうとした経験を持つ人が、今度は共同創業者や参加者との関係を中心にした事業を始めました。病気になる前の働き方へ戻ったのではなく、働き方そのものを作り直したと言った方が近そうです。
井上慎平が注目される理由は経歴の落差にある
井上慎平さんが注目される理由は、ベストセラー編集者としての実績だけではありません。
京都大学を卒業し、有名出版社を渡り歩き、NewsPicksで新しいレーベルを立ち上げる。経歴だけを見れば、仕事のできるエリート編集者そのものです。
ところが、その強さを維持しようとした結果、心身が動かなくなりました。そして休職後は、弱さを隠して成功者へ戻るのではなく、弱い状態にある自分を公の場で語り始めています。
これは簡単にできることではありません。ビジネスの世界では、実績、成長、行動力、再現性といった言葉が好まれます。調子が悪い日があることや、一人では何もできないことは、なるべく見せたくない部分でしょう。
井上慎平さんは、その隠したくなる部分こそ、多くの人が抱えている問題ではないかと考えました。
強くなってから再出発したのではなく、弱さを抱えた状態で本を書き、会社まで立ち上げた。きれいな復活物語ではないからこそ、仕事や生き方に疲れた人へ届くのではないでしょうか。
井上慎平のwiki経歴と妻・現在の活動まとめ
井上慎平さんは、NewsPicksパブリッシングの創刊編集長を務め、複数のベストセラーを世に送り出した編集者です。
京都大学を卒業後、ディスカヴァー・トゥエンティワンで書店営業や広報を経験して編集者となり、ダイヤモンド社を経てNewsPicksへ移りました。
華やかな経歴の一方で、2021年には双極性障害を発症。約1年間の休職を経験し、それまでのように働けない自分と向き合うことになりました。
その経験から生まれたのが、「弱さ考」の連載と書籍です。現在は、弱さを克服した成功者としてではなく、弱さを抱えたまま働き、生きる一人の当事者として発信を続けています。
- 井上慎平は1988年生まれの編集者・著者・起業家
- 読み方は「いのうえ・しんぺい」
- 出身大学は京都大学総合人間学部
- 出身高校や詳しい出身地は公表されていない
- 2011年にディスカヴァー・トゥエンティワンへ入社
- 書店営業と広報を経て編集者になった
- 2017年にダイヤモンド社へ入社
- 2019年にNewsPicksパブリッシングを立ち上げた
- 『学力の経済学』『転職の思考法』『シン・ニホン』などを担当
- 結婚しており、妻は会社員として働いている
- 妻の氏名や勤務先などは公表されていない
- 2021年に双極性障害Ⅱ型を発症した
- 著書『弱さ考』の読み方は「よわさこう」
- 現在はNewsPicksを退社している
- 岩佐文夫と株式会社問い読を共同創業した
強い編集者として走り続けた結果、一度は完全に動けなくなった井上慎平さん。それでも、弱さを消してから次へ進むのではなく、弱い状態の自分に合う働き方を探し直しました。
ベストセラーの実績だけを見ても優秀な編集者です。しかし、できなくなったことや格好悪い感情まで言葉にしたところに、現在の井上慎平さんならではの魅力があります。

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